照明用光源としての有機ELで新市場創出ねらう…フィリップス アーヘン工場

有機ELディスプレイは、その輝度の高さから発色のよいカラーディスプレイができるとして、ソニー、パナソニック、サムスン、LGといった家電メーカーがこぞって開発を進めていた。しかし、有機ELディスプレイはいまのところ市場では成功していないといっていいだろう。現在のところ、製品の歩留りが悪くとても量産化できる状態ではないからだ。

しかし、その有機EL(OLED)を照明用の光源として注目し、技術開発とさまざまな応用を提案している企業がある。オランダに本社を置くグローバル家電企業の名門、フィリップスだ。フィリップスでは、ドイツのアーヘン工場に開発拠点やショールームなどを置き、OLEDによる各種照明機器の研究・開発を行っている。

アーヘン工場 Business Center OLEDのスポークスマン ディートマー・トーマス氏によれば、まず、OLEDの特徴は光源が点ではなく面であるということにある。発光素子自体も髪の毛の1/400と非常に薄いもので、発熱も少ない。そのため、加工や組み合わせがしやすく、潜在的な応用範囲は広いという。

OLED製品の市場展開にあたって同社の戦略は、2010年にイタリアで開催されたデザインフェアへの出展から始まった。ジェイソン・ブリュージュというデザイナーに「ミモザ」という作品を作ってもらい、OLEDの可能性をアピールしようとする試みだ。「ミモザ」は、1辺が4cmほどのOLEDパネル(商品名:ルミブレード)を5つつなげて「花」に見立てたものだ。これが、たくさん並べられ、手をかざすとそれに反応してOLEDパネルが動くようになっている。

この展示は非常に好評だったといい、アストンマーチンは、展示をきっかけにミモザを元にしたイルミネーションを同社のスーパーカーである『177(One-77)』を納車する際の演出に採用している。177は限定生産であり価格は100万ポンド(日本円で1億5千万円以上)と言われている。そのため、成約したオーナーには工場での特別な納車セレモニーが用意されるそうだ。

他にもルミブレードを16個ならべたユニットを72個壁面に展開したパネルを台北のホテルにも納入している。このパネルはサイネージとして文字、パターン、モノトーンの映像などを表示できる。コンシューマ製品では昨年10月には、ルミブレードを利用した鏡が商品化されている。ルミブレードは消灯時に鏡のように物を映すことができるので、普段は壁面のイルミネーションや照明として利用し、人が前にくるとその部分だけ鏡になるという商品だ。イルミネーションと鏡面の切り替えはスイッチでも可能だ。

アーヘン工場は自動車関連の照明やライトの一大生産拠点である。OLEDも当然、自動車への応用が進んでいる。いまのところ、面で発光するOLEDは、効率の点でLEDや他の光源に劣るため、ヘッドライトへの応用な考えていないとのことだが、それ以外のほとんどのライトには応用可能だという。ストップランプやマーカーは、薄い、面発光というOLEDの利点を生かし、LEDやバルブと使った灯具とは違ったデザインが可能になる。カーデザイナーにとっては、自分のアイデアを実現する手法が増える。とくに、インテリアや車内照明としての用途が有力視されている。ルームランプやインパネの照明、非常灯などさまざまな応用が考えられる。

消灯時に透明になるOLEDも開発されており、ショーモデルのコンセプトカーでは、サンルーフと照明を兼用したOLEDを搭載した例もある。別のコンセプトカーでは、ソーラーパネルとOLEDを一体化させたりもしたそうだ。

フィリップスではこのように、まず企業向けの製品としてある程度の成果を上げ、OLEDの認知度と普及を進めながら、コンシューマ製品の開発につなげている。同社では、このマーケットは広がる可能性が高いとみて、製品開発、量産化のラインに対しておよそ52億円規模の投資も行っている。明るさは、2013年末までに現在の3倍の600ルーメン以上、省エネ・効率化も進め、1Wああたり100ルーメンを目指している。光度は、現状の4000~8000カンデラ/平方メートルを2017年までに10000カンデラ/平方メートルまで上げるという。

同社のチャレンジは技術開発だけではない。フィリップスでは、OLEDを単なる既存照明の置き換えとは考えておらず、新しい照明器具や利用スタイルなどニーズの掘り起こしも同時に考えているそうだ。OLEDによる新しい市場の創出である。既存照明の代替だけでは、いずれコモディティ化が進み、ビジネスがあやうくなる。LG、サムスンなどすでにEL技術を持った競合企業の照明分野への参入は近いとみている(トーマス氏)。サムスンはまだディスプレイ分野へのこだわりがあるようで参入ははっきりしないが(なお、フィリップスは2004年の時点で有機ELディスプレイの開発に見切りをつけている)、LGは製品化を進めているという。

しかし、フィリップスは先行の利を生かし、大規模な生産ライン、製品化のスピード、製品のバリエーションなどで競合他社との差別化を図るとしている。4年後をめどにフレキシブル照明の商品化も進めているそうだ。フィリップスは、ラジオ受信機から始まり、電球、オーディオ機器、ミュージックテープ、CD、照明、家電製品と、もっともコモディティ化による競争が激しい分野で、1世紀近くも業界のリーダーであり続けている。それは、常にフロンティアであり自らトレンドを創出することを旨としているからではないだろうか。(ソース:レスポンス)


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