酸化タングステン還元力での防食防汚機能路灯

光触媒への光照射によって生じるセルフクリーニング性、および腐食電位より負側で保持できる防食性について、東京大学との共同研究成果に基づき、具体的な防食防汚機能材料の実用化を進めている。
 
防食の原理は酸化チタンが太陽光の紫外線を受けることで電子が生成されるが、基材にこの電子を消費させることで基材の腐食を防止することができる。
 
実験室では、紫外線照射下(1mW/cm2)でステンレス(SUS304、SUS430)の電位を腐食電位より負側に保持することに成功している。ただし、現状では日中太陽光の下だけで夜間についてはまだ開発途上である。
 
東大の基礎研究においては日中得られた還元エネルギーを酸化タングステンに蓄積し、その還元力によって夜間もステンレスの電位を負側に保持して防錆効果が得られている。
 
このたび、試作品とし街路灯を製作した。街路灯は夜間でも照明に含まれる紫外線により得られた光電位を照明フレームに伝達し、防錆効果が期待できる。街路灯の強化ガラスや基材の上に導電性薄膜としてスズ化合物を塗布し、その上に酸化チタン膜を形成させて、多層構造で防食機能をもたせている。
 
スズ化合物の役割は絶縁物(ガラス)の上で発生した電子を速やかに基材の金属面へ伝導するためである。実用を踏まえ炭素鋼についても、ほぼ防食を可能とする電位が得られているため、今後は如何に長時間昼夜にわたりその低電位を維持できるかを課題として研究を進めている。
 
 
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