TiO2/ WO3複合構造における電子移動の抑制

酸化チタン(TiO2)に利用できる光は、紫外光に限られ、エネルギーの有効利用の観点から、可視光も利用できることが望まれる。TiO2の可視光利用における課題として光励起によって生成した電子・正孔対の再結合を抑制することが挙げられる。
 
そこで、電子分離の手段として異種半導体である酸化タングステンの複合化が好適であると考えた。光触媒活性には、酸化分解反応と親水化反応があり、三酸化タングステンは親水化反応のみ進行する金属酸化物として分類されている。
 
禁制帯幅2.5[eV]を有するWO3は、3.2[eV]有するTiO2よりもバンドギャップが狭く、TiO2では吸収できない可視光での電子・正孔対の生成が可能である。また、WO3の価電子帯及び伝導帯はTiO2よりも正側に位置しており、TiO2部で励起した電子はWO3側へ、WO3部で生成した正孔はTiO2側へ移動することが可能である。
 
つまり、TiO2/ WO3複合構造において、可視光励起によって生成される電子及び正孔の数を増大スロことができ、かつ電子及び正孔を各々の半導体に速く移動させることで再結合の抑制が可能である。
 
 
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